日本は世界でも珍しく、定期健康診断が広く実施されている国です。しかし、海外では健康診断が健康増進や寿命延長に明確な効果がないとして、広く義務化されていません。一方で、日本では検診によって病気と診断され、不要な治療を受けるケースも。この記事では、近藤誠氏の著書『健康診断は受けてはいけない』をもとに、検診の問題点と健康長寿のための考え方を解説します。
前回の記事「医者に殺されないための心得 」に続き、近藤氏の主張を参考に、100歳まで元気に生きるヒントを探りましょう。

健康診断の義務化項目とその影響
日本では、会社員にとって健康診断は義務であり、受診しないと減給などのペナルティが課される場合もあります。主な検査項目には以下が含まれます:
- 血圧:高血圧の基準値(140/90mmHg)は、年齢に関係なく一律。
- 血糖値:糖尿病の診断基準は、体重や体格を考慮しない一律の数値。
- コレステロール:心筋梗塞予防のための基準値で設定。
近藤氏は、これらの基準値が科学的根拠に乏しく、製薬業界の影響を受けていると指摘。検診で「異常」と診断されても、薬を飲むかどうかは自分で決められることを強調しています。検査の仕組みを理解し、冷静に判断しましょう。
高血圧:基準値の裏に潜む利益
高血圧の基準値(140/90mmHg)は低すぎる?
近藤氏によると、加齢に伴い動脈が狭くなり、脳に十分な血液を送るため血圧は自然に上昇します。しかし、WHOが1978年に一律の基準値(160/95mmHg)を設定し、日本はさらに厳しい140/90mmHgを採用。この背景には、製薬業界からの寄付金による影響があったとされます。
- 影響:降圧剤の市場は年間2000億円から1兆円超に急拡大。
- 問題点:血圧を下げすぎると、脳血流が減少し、認知機能低下や脳梗塞のリスクが高まる可能性。調査では、血圧を下げた人の死亡率が上昇するデータも。
- 対策:高血圧と診断されても、症状がなければすぐに薬に頼らず、生活習慣を見直す選択肢も検討しましょう。
糖尿病:基準値の引き下げとリスク
糖尿病の基準値は科学的?
WHOは1998年、糖尿病の診断基準(血糖値)を140mg/dLから126mg/dLに引き下げました。しかし、近藤氏はこの変更による健康改善や寿命延長のデータは存在しないと指摘。判定方法も、体重40kgの女性と200kgの力士に同じブドウ糖負荷試験を適用するなど、問題が多いとされます。
インスリン治療のリスク
- 低血糖発作や転倒リスクの増加。
- ヘモグロビンA1cを下げた人の死亡率が上昇。
- 副作用による重篤な健康問題の可能性。
近藤氏の主張:自覚症状がない高血糖や糖尿病は、特別な場合を除き薬物治療は不要。生活習慣の改善を優先すべき。
コレステロール:下げるほど危険?
コレステロール値は低い方が良い?
日本では総コレステロール値220mg/dL以上を「異常」とし、コレステロール低下薬が処方されます。しかし、近藤氏は以下を指摘:
- 総コレステロール200mg/dL未満の人は死亡率が上昇。
- 240~260mg/dL(基準値では「高値」)が最も死亡率が低い。
- 製薬業界から多額の寄付を受けた学会が基準値を設定。
悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪も、高い方が死亡率が低いという調査結果がでており、健康な人が薬でコレステロールを下げる必要性は、科学的根拠に乏しいとされます。
メタボリックシンドロームの落とし穴
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪蓄積に加え、高血圧、高血糖、脂質異常のうち2つ以上が該当する場合に診断されます。しかし、基準値自体の妥当性が疑わしい中、「メタボ」と診断されることは健康リスクを高める可能性も。
近藤氏は、「メタボ気味の人の方が長生きする」と主張。過度なダイエットや薬物治療よりも、バランスの良い生活習慣が重要です。
がん検診:精神的な負担と効果の疑問
がん検診の効果は?
海外では、がん検診の効果が疑問視されています:
- 前立腺がん検診:米国(2012年)やカナダ(2014年)で「推奨しない」と発表。
- 乳がん検診:米国(2009年)やスイス(2014年)で非推奨や廃止提言。
日本では、検診による「異常あり」の診断が頻発。例として、40代女性1000人が10年間マンモグラフィを受けると:
- 560人が「異常あり」と診断。
- 190人が生検(組織採取)を受けることに。
- 15人のみが乳がんと診断。
胃、大腸、肺など、他部位のがん検診も似たようなものとのこと。生検とは患部から組織を採取することで、この検査が危険なことも本書で指摘。
生検に至らなくても6割近くが一度は異常ありと言われることになります。言われたときの精神的ショックを考えてみてください。うつ状態が高じての自殺もあれば、極度のストレスから心筋梗塞になる人もいるそうです。そして、再検査で大丈夫と言われても、本当に大丈夫かという疑問がたえず残ることを近藤さんは指摘しています。がん検診を自分から受けにいくほど愚かなことはないと私は思います。
脳ドック・骨粗しょう症・ピロリ菌除菌の問題
- 脳ドック:日本独自の検査で、MRI機器の過剰普及が背景にある。脳動脈瘤手術は神経麻痺のリスクが高く、欧米では一般的でない。
- 骨粗しょう症:基準値(若年層の70%未満)に科学的根拠がなく、薬の副作用(骨折リスク増加)が問題。
- ピロリ菌除菌:胃がん予防の効果は限定的で、食道がんリスクが増加する可能性。
近藤氏の提案:薬に頼らず、バランスの良い食事、運動、日光浴を推奨。
まとめ:健康長寿のための選択
定期健康診断は、医療業界の利益や基準値の操作により、必ずしも健康に寄与しない可能性があります。近藤誠氏の『健康診断は受けてはいけない』は、検診の背景やリスクを理解する一助となるでしょう。
健康長寿のためのポイント:
- 検診結果に盲目的に従わず、自分で情報を検証。
- 自覚症状がない場合、薬物治療を急がない。
- バランスの良い食事、運動、ストレス管理を重視。
近藤氏の言葉を借りれば、「医者と医療を盲信せず、救急医療以外では自分の判断を大切に」。ぜひ本書を手に取り、医療との向き合い方を見直してみませんか? 最後に、近藤氏の著作のなかから、健康長寿のための最高のアドバイスを贈ります。
健康長寿を目指すなら、医者と医療を信じるのをやめることです。すべてを疑えというのではありません。救命救急医療のように役にたつ医療なら、ある程度医者を信じて身をゆだねるしかないでしょう。しかし、元気でご飯がおいしいときには、がんや検査値の異常が見つかっても、医者の言うことを信じないほうが確実に長生きできます。(p.211)



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